本当の気持ちはどこ?
2014年09月02日
河野嘉恵 at 16:30 | Comments(0) | 人間関係に悩む
ある子育てセミナーが終わった時のこと。
「この子を保育園に預けて、働きたいんです」
1歳になったばかりの男の子を抱っこしながら、そのお母さんは真剣な表情で切り出しました。
「まだこんなに小さいけど、保育園に預けても大丈夫ですよね?」
不安そうにしながら、「大丈夫ですよ。心配しないでね」という言葉を言ってもらいたそうに尋ねるお母さん。
私は妙な違和感を感じながら、「もちろん子どもは大丈夫ですよ。ご心配なら、近くの保育園の遊びの広場に行って、同じくらいの子どもたちの様子を見せてもらうと安心すると思いますよ」と答えました。
「そっかぁ・・・・良かった」
そう言いながら、いとおしそうに自分の子どもの頭をなでるお母さん。
そこで「これから働こうと思っているんですか?」と質問すると、実は経済状態が厳しくて旦那から働いてほしいとお願いされていること、姑もバリバリ働きながら子育てをしてきた人なので、「家計が厳しいなら、働くといいわよ。子どもは保育園に預けても大丈夫だから」と悪気なく言われていることなど話してくれました。
お母さんは、話しながらもずっと愛情いっぱいのまなざしで、わが子を見つめています。
そこで思い切って聞いてみました。
「お母さん・・・・見当違いだったらごめんね。もしかして本当は、保育園にこの子を預けたくないんじゃないかな?」
その瞬間、お母さんは大きく目を見開いて、涙をぼろぼろこぼしたのです。
そしてお母さんはそのまま嗚咽しはじめ、しばらく涙が止まりませんでした。
しばらく泣いて落ち着くと、お母さんはぽつりぽつりと話してくれました。
本当はこの子と一緒に過ごしていたいこと、でも家計が苦しいからこれからのことを考えると、やっぱり働かなくてはいけないと思っていること、そして姑がちゃんと働きながら子育てしてきたのに、自分がそれをしないのはなんだか心苦しいことなどなど・・・。
「でも・・・本当はこの子と一緒にいたいんです」
そう言って、また涙を流していました。
うん、そうだよね。
それが本当にお母さんの本当の気持ちだったんだよね。
「~したい」気持ちと「~しなくてはいけない」気持ちのせめぎあい。
これ、どっちを選んでも苦しい。
とってもよくわかる。
それでも
私は必ず「~したい」を大事にしてください、と提案しています。
この「~したい」を選ぶということは、「私のわがままを通していいのかな?」「そのせいで周りが迷惑にならないかな?」という葛藤を持つということ。
このお母さんもそうでした。
「私がこの子と一緒にいたいということを言ってしまったら、旦那と姑はなんて思うんだろう?」と。
とってもとっても怖かったはず。
でも「この子と一緒にいたい」という自分の本心に気付いたお母さんは、どうしても自分の心に嘘はつけず、「私、勇気を出して伝えてみます」と言って帰られました。
驚きの?後日談はまた続きで☆